校長挨拶

 

          校長 荒木 順

 

 本校のホームページをご覧いただきありがとうございます。

 「萌黄(もえぎ)に烟(けむ)る山脈(やまなみ)の香久留ヶ原(かくるがはら)は真秀ら郷(まほらさと)」。これは本校の校歌の冒頭部分です。「香久留ヶ原」とは本校が立地する地域の古称で,平安時代に相模から当地に赴いた菅原昭次(すがわら・あきつぐ)卿にまつわる伝説に由来します。歴史あるこの地を「学びの理想郷」と歌う校歌は,気高生の理想や学校生活そのものを見事に表していてます。長きコロナ禍のため,なかなか全校で歌う機会がありませんでしたが,今年度こそ高らかに清々しく斉唱したいと思う次第です。
 コロナ禍は厳しい現実でありましたし,いまだに心配は続きます。しかし同時に,私たちはこれまで試行錯誤を繰り返して,私たちなりに納得できる学校生活を作り上げてきました。イタリアの作家,パオロ・ジョルダーノ氏は,「パンデミックが僕たちの文明をレントゲンにかけた」「(コロナ禍の後に)何をもとにもどし,もどさないかよく考えるべきだ」と提言しました。そうした意味において,学校教育についても今年度は一つの転換期となる可能性があります。伝統を守りつつ,合理的な判断で新たな価値を生み出していくチャンスと言えるかもしれません。何ごとにも,様々なアイディアを持って柔軟にチャレンジしていきたいものです。

 さて,それでは,本校の紹介をいたします。
 宮城県気仙沼高等学校は,伝統校であるとともに,統合を経て前進を続ける学び舎です。まず,平成17年4月に,気仙沼高等学校(77年の歴史を有する全日制男子校)と鼎が浦高等学校(81年の歴史を有する全日制女子校,定時制共学校)が統合されて新たに気仙沼高等学校となりました。その後,平成30年4月に気仙沼高等学校と気仙沼西高等学校(33年の歴史を有する共学校)との統合により現在の気仙沼高等学校となっております。長きにわたる歴史の中で,これまでの卒業生は43,000名を超え,全国各地で活躍をされております。

 今年度,本校の全日制普通科は18クラス(1学年6クラス)で男子292名,女子333名,計625名が在籍,定時制普通科には男子14名,女子16名,計30名が在籍しております。
 校訓は,「究理創造,和親協同,至誠励業」の3つです。
 「究理創造」・・・物事の理(ことわり)を明らかにし,新しいものをつくること
 「和親協同」・・・親しみあい,ともに働くこと
 「至誠励業」・・・真心をもって業に励むこと

 本校は,平成28年度から令和2年度までの5年間,文部科学省「スーパーグローバルハイスクール(SGH)」に指定され,「海」をテーマとした探究的な活動を中心として,たくさんの皆様からのご指導・ご支援を頂きました。この事業で会得できた学びのノウハウは継承され,今は更に発展させるべく努力しております。なお,令和4年度には気仙沼市産官学コンソーシアムが発足し,探究的な学びに関して本校も連携しております。
 震災から12年が過ぎました。当時幼少期だった世代が,高校生となり,「震災の記憶を持つ最後の世代」と自覚して,教訓を未来に伝え新たな社会の創造を担うべく頑張っています。本校生も地域内外の多くの皆さまと交流しながら学びを進めてきました。
 本校は「志を高くして,世界を舞台に活躍する,スケールの大きな人間」の育成を目指してまいります。皆さま,今後ともご支援ご協力を賜りますようお願い申し上げます。


                       令和5年4月
                       宮城県気仙沼高等学校長  荒木 順